社会的養護

社会的養護を必要とする子どもたちに共通する悩み・不安

柴ジロー
柴ジロー
どうも、柴ジローです。

今回は私がNPO団体の理事をやっていた時に頂いた、子どもたちからの相談と私の回答をについてお話ししたいと思います。

児童養護施設や里親など、社会的養護を必要としている方に読んでいただき、抱えている悩み・不安を解決できる一助となれば幸いです。

社会的養護を必要とする子どもたちに共通する悩み・不安

私自身、過去に社会的養護を必要としていたこともあり、同じような境遇の子どもたちから相談を受ける機会がありました。

(私を含め)社会的養護を必要としている子どもたちは、経済的に貧しく、自分の境遇や生い立ちにある種の”コンプレックス”を持っている場合が多いです。

子どもたちの置かれている状況や抱えている事情は一人一人違いますが、経済的な困窮や”コンプレックス”の部分では共通しているものがあり、悩み・不安にも共通の部分があります

今回、その中から特に複数の子どもに共通していた悩み・不安についていくつかお話しします。

柴ジロー
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もちろん、本人の状況や本人の性別、名前は仮のものとしています。

経済的に貧しく、施設の先生から進学に反対されている。
諦めるしかない?

進学に関する講演をした時に、当時17歳だった女性、Aさんから頂いた相談です。

Aさんは親がおらず、幼い時から児童養護施設で育ち、高校まで無事に進学してきました。

ところが、経済的に難しいことを理由に、施設の先生に進学を反対されたそうです。

「今まで経済的に厳しい中でもわがままをあまり言わず、一生懸命やってきたけど、進学に反対されてものすごくショックだった。やはり、貧乏人に進学は無理なんでしょうか?」という事でした。

他人は自分の人生の責任は取ってくれない

まず、誰に何を言われても、あなたの人生を生きるのはあなただということを覚えておきましょう。

施設の先生が、あなたのことを心から心配しているかどうかは関係ありません。

もしも先生が、あなたの今後の人生の責任を取ってくれると言うのなら、その先生の言うことを聞いて進学を諦めるという選択もあるでしょう。

しかし、そんなことはありませんよね。

困った時に援助してくれるような親や家族がいない私達にとって、他人の言うことを聞いても聞かなくても、自分の人生の責任は自分で取らなければならないのです。

これまで、一人でも必死に生きてきたあなたは、それだけで奇跡に近い偉業を成し遂げてきています

大学に進みたいという意思を持っている事も、本当に、本当に素晴らしいことです。

あなたの人生を決める権利がある人間なんていませんので、自分が後悔のないような決断をしましょう!

どうしても言うことを聞いてくれない場合は、自分で児童相談所に連絡して、今の状況を報告しましょう。

児童相談所の職員でも適当な方もいらっしゃいますので、それでもダメな場合は、インターネットで近くのNPO団体を探して、相談してみましょう。

貧乏でも進学はできる!

また、貧乏でも、大学に進むことは不可能ではありません

私も貧乏でしたが、誰からも一切援助を受けずに進学し、結局は大学院まで卒業しています。

詳しくは過去の記事でお話していますので、そちらを参考にしてみてください。

今、日本にはあなたのような、夢と向上心を持つ人間が絶対に必要です。

日本学生支援機構が給付型の奨学金を始めたり、成績優秀者には学費が免除されたり、世の中には経済的に貧しい人たちに向けた支援が増えてきました。

使えるもの•人間は全て使って、目標を叶えましょう!

柴ジロー
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ただ、自分を助けてくれた人には心からの感謝を伝えることは忘れないで下さいね。

夢は特にありません。でも、お金が欲しいんです。どうやったらお金が手に入りますか?

当時大学2年生の男性、Bさんから頂いた相談です。

将来、働くのが嫌で、とにかく短期間で儲ける方法を知りたいとのことでした。

この方については、詳しい境遇やこれまでの経緯を知る前に連絡が取れなくなりました。

おそらく、私の回答が説教臭く感じたんだと思います。

手段を選ばなければお金を儲けるのは簡単

手段を選ばなければ、お金を儲けること自体は簡単です。

片っ端からオレオレ詐欺の電話をお年寄りにすることでも儲けられるでしょうし、怪しい情報商材を情報弱者に売りつけることでも稼げるかもしれません。

きちんと人を選んで、騙されやすいお年寄りや情報弱者を狙うのであれば、お金を騙し取る事は簡単です。

ただ、警察にバレないようにだけ、注意しましょう。

すでに同じようなことをしている人に連絡して、ノウハウを教えてもらえば、バレずに人を騙して稼ぐ効率のいい方法をマスターできるかもしれません。

とにかく、楽に短期間で稼ぎたいならリスクは付いてきます。気をつけましょう。

自分が”本当に欲しいもの”は何なのか

ところで、儲けたお金で何をしたいのでしょうか?

Bさんに「お金を稼ぐ方法はたくさんあると思うけど、そのお金で何をするの?」と聞いた時、「別にはっきりした答えがあるわけじゃないけど、無いと困るから。」と返ってきました。

私は「貧乏だと思い通りに生活が送れないことも多いよね。じゃあ、あなたにとっての理想って具体的にどんな生活なの?」と聞きましたが、次の日からその方とは連絡が取れなくなりました。

説教臭いことを言っている感じたのでしょう。申し訳ありません。

ですが、あなたのこれからの人生にとって、”本当に必要なものが何か”を整理しておくことが必要だと思って聞かせていただきました。

「カッコよく見られたいから、お金を稼いでブランドの服を着るんだ」とか、「人と関わるのが苦手だから、ひたすら家で過ごしたい」とかで十分です。

これからの人生で、Bさんを含め、みなさんが大変辛い思いや大変な思いをすることがあると思います。

特に、援助してくれる家族がいない方や、金銭的に豊かでない人はそのような思いをする機会が多いでしょう。

そんな時、”自分が本当に欲しいものは何か”というものをしっかりと持っていないと、踏ん張ることができないと私は思うのです。

私は弱い人間なので、辛いことや上手く行かないことがあると「頑張ったけど、無理だったんだ。周りが悪いんだ。」と思って逃げ出してしまいそうになります。

それでも、金銭的な援助を受けずに大学院まで進学し、大手企業に入社して、苦しくない生活を送れているのは”愛する妻と一緒に、一生普通の暮らしを送るんだ”という思いがあったからです。

抽象的な目標に一生懸命になるのは難しいです。

自分がどういう風になりたいかをはっきりとイメージして、歯を食いしばって生きるしかないのです。

”働く”というのは本来素晴らしいことであるはず

また、”働く”ということは嫌なことではありません。

あなたの周りには、辛そうに働いて「お金が欲しい」と言う大人ばかりだったのかも知れません。

ですが、本来”働く”というのは尊いことです。

自分が今まで必死に生きてきた中で身につけた知識やスキルを使って、人を助けて、お金を貰えるのですから。

凄く嬉しくて”もっともっと働きたい”と思うことであるはずです。

日本では、お年寄りが増え、給料も上がらず、非正規労働者が増えたりして日に日に労働者環境が悪くなっています。

ですが、それは日本の問題なのであって”働く”こと自体の問題ではありません

私は、是非、あなたが今まで必死に生きてきた中で身につけてきた知識やスキルで人の役に立って、たくさん感謝されて欲しいです。

もちろん、劣悪な労働環境の職場や自分に合わない仕事はさっさとやめてしまいましょう!

家族もおらず、貧乏で、惨めです。夢も希望も持てません。

高校3年の男性、Cさんから頂いたご相談です。

小さいときから施設で育ち、家族もいないとのことでした。

また、貧乏だったので友達と遊びに行っても、自分だけ好きにお金を使って遊べずに惨めな思いをしたり、社会的養護が必要な環境であることを憐れまれたりして恥ずかしい思いをしてきたということでした。

貧乏は惨めで恥ずかしいこと。でも、それは過去の話。

貧乏って惨めですよね。

私も子供の頃に、お風呂を沸かす灯油を買えず、数日お風呂に入れなくて友達にバカにされたり、貧乏が原因で惨めで恥ずかしい思いをしたことが沢山あります。

高校生までは保護者の庇護の下で生活しなければなりません

このため、親や家族が貧乏だったり、児童養護施設内のルールでお小遣いが少なかったりして学校の友達と比べたら惨めな思いをするのは、半分仕方ない部分です。

しかし、それはもう過去のこと

高校を卒業して20歳を超えれば、保護者や家族の影響を受けることはガクッと少なくなります。

Cさんは高校を卒業して20歳を超えれば、保護者から離れて、自分の意志で人生をデザインできるんです

そうなれば、もう自分が貧乏だったことなんて関係ありません。

社会は、いい意味でも悪い意味でもあなたに興味がありません。

”自分は惨めな人間なんだ”と思っているのは、あなた一人だけです。

あなたはこれまで惨めな思いをしても、恥ずかしい思いをしても歯を食いしばって生きて来ました。

そんなあなただからこそ、人の痛みや辛さを理解してあげられる素晴らしい人間になれると思います。

俯いて生きるなんてやめて、これまでの苦労に打ち克ってきた自分に誇りを持ち、堂々と自由に生きて行きましょう!

希望がないなら死ぬときのことを考えよう

夢も希望も無いということは、別に珍しいことではありません。

”さとり世代”なんて言葉が流行ったくらいですしね。

私としては、夢も希望もなくてもいいと思います。

日本では、大人たちがあんなに俯いて生きているんですから、子どもたちに「希望を持て」という方が無理があると思います。

ですが、何もせずに生きているのって、案外暇なもんです。

そこでおすすめなのが、自分が”納得できる死に方”について考えることです。

具体的にお話しましょう。

例えば私の場合、”100歳くらいまで妻と生きて、妻をひ孫たちと見送った後に自分もひ孫たちに見送られながら死にたい”と思っています。

柴ジロー
柴ジロー

人によっては贅沢だという人もいるかも知れませんが。

次は、その死に方にたどり着くまでの道を想像するのです。

私の場合だと、「100歳まで生きるんだから健康には気を使わないと」とか、「100歳までにひ孫が生まれてるんだから、30歳までには自分の子を作らないと」とかですね。

とにかく、”納得できる死に方”を実現するための方法を考えましょう。

そうすると、何をやらなければいけないのかが見えてきます。

もしも、”ちょっと自分にはできそうにないな”と思うのであれば、死に方を考え直しましょう。

目標はなくても結構ですが、”こんな風に死にたいなぁ”という具体的な思いがあれば、意外と愉快に生きていけますよ。

まとめ

さて、これまで私が頂いた相談の中で、複数の子どもたちに共通した悩み・不安についてお話しました。

私の見解や意見は、あくまで一個人としての意見です。

皆さんの人生に責任を持つのは皆さん自身なので、ご自分の納得できる生き方・死に方をして下さい

皆さんが健康で元気に、ハツラツとして生きていけることを祈っております。じゃあね!

 

 

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